この記事の要点:とうもろこし、大麦、小麦、飼料用米はいずれもエネルギー原料ですが、ルーメン内でのでんぷん分解、加工方法、嗜好性、価格、供給量が異なります。安い原料へ同じ重量で置き換えるのではなく、乾物・TDN、粒度、粗飼料とのバランス、牛の状態を確認します。
4つの穀物を比較
| 原料 | 特徴 | 主な確認点 |
|---|---|---|
| とうもろこし | 代表的なエネルギー源 | 輸入相場、加工度、カビ毒 |
| 大麦 | 肥育牛で広く利用 | 発酵速度、圧ぺん・粉砕 |
| 小麦 | でんぷんが利用されやすい | 急な増給、配合割合 |
| 飼料用米 | 水田で国産可能 | 破砕・加工、保管、安定供給 |
とうもろこし
でんぷんが多く、配合飼料の中心となる原料です。日本は米国・ブラジルからの輸入に大きく依存します。丸粒のままでは利用性が下がるため、粉砕、圧ぺん、加熱処理など目的に合わせた加工が行われます。
大麦
肉用牛肥育で利用される代表的な穀物です。とうもろこしと比べてルーメン内で発酵しやすい傾向があり、急な増給や細かすぎる粉砕は、採食やルーメン環境へ影響する可能性があります。
小麦
エネルギー価値の高い原料ですが、でんぷんの発酵が速い特徴があります。単一原料を大量に増やすのではなく、他の穀物や粗飼料と組み合わせます。規格外小麦や製粉副産物を利用する場合も、成分と安全性を確認します。
飼料用米
農林水産省によると、玄米のTDNはとうもろこしとほぼ同等です。水田を活用でき、輸入相場に左右されにくい利点があります。一方、籾・玄米、破砕の有無、水分、保管方法によって利用性が変わります。
農林水産省のQ&Aでは、とうもろこしからの置換目安として、乳用牛は配合飼料の10%程度、肉用牛は3%程度までなら生理・生産物への影響なく利用できる知見が示されています。これは一律の上限ではなく、個別設計は専門家と確認します。
原料変更で見るべき指標
- 乾物摂取量と残飼
- 反すう、ふん性状、鼓脹・アシドーシス兆候
- DGと飼料要求率
- 枝肉重量・肉質
- 乾物・TDN当たりコスト
原材料全体は家畜飼料の原材料とは?をご覧ください。
よくある質問
飼料用米はとうもろこしの代わりになりますか?
一定割合の代替が可能です。ただし加工、配合割合、肥育段階を含めて設計します。
大麦の方が和牛に向いていますか?
一つの原料だけで肉質は決まりません。全飼料、摂取量、健康、血統、肥育期間が関係します。
最も安い穀物を使えば飼料費は下がりますか?
栄養価や利用率が低下すれば、1頭当たり原価は下がらない場合があります。