この記事の要点:国産飼料は「高いから使えない」と一括りにはできません。圃場価格が安くても収集・乾燥・保管・運搬費が高い場合があり、逆に農場近隣で安定調達できれば、輸入相場への依存と輸送リスクを抑えられます。判断すべきなのは1kg単価ではなく、栄養価、ロス、物流、年間供給を含む給与可能な栄養当たりコストです。
主な国産飼料
| 飼料 | 主な地域・基盤 | 利用 |
|---|---|---|
| 牧草・青刈りとうもろこし | 北海道、酪農・畜産地域 | 乾草・サイレージ |
| 稲わら | 全国の水田地帯、東北など | 肥育牛の粗飼料 |
| 稲WCS | 水田地帯 | 実と茎葉を発酵利用 |
| 飼料用米 | 東北、関東、九州など水田地帯 | 濃厚飼料原料 |
| 子実用とうもろこし | 北海道、東北、関東などで拡大 | 濃厚飼料原料 |
国産稲わら
2024年度に飼料として利用された稲わらは87万トンで、73%に当たる63.6万トンが国産でした。特に稲作地域と肉用牛経営をつなげれば、地域資源を活用できます。
一方、天候による乾燥不足、土砂混入、カビ、収集機械、ロール運搬、保管場所が制約です。「水田にある」ことと「飼料として使える」ことは同じではありません。
飼料用米
輸入とうもろこしの代替原料になります。農林水産省のQ&Aでは、配合飼料中の置換目安として乳用牛で10%程度、肉用牛で3%程度までなら生理や生産物へ影響を与えず置換できるとの知見が紹介されています。ただし、畜種、肥育段階、加工方法、全体設計で適量は変わります。
稲WCS
稲の実と茎葉を一体で収穫し、乳酸発酵させる粗飼料です。水田を利用でき、地域内生産に向きます。水分、発酵品質、開封後の変敗、保管スペースを管理する必要があります。
国産とうもろこし
青刈りとうもろこしは茎葉と実をサイレージ利用します。子実用とうもろこしは濃厚飼料として期待され、東北・関東でも取組が拡大しています。一方、乾燥設備、収穫機、保管、カビ毒検査、大ロット流通が課題です。
なぜ国産飼料が高く見えるのか
- 圃場が小さく分散している
- 収穫期間が短く専用機械が必要
- 乾燥・調製・検査費がかかる
- 水分を含む飼料は長距離輸送効率が低い
- 生産量が少なく年間均一供給しにくい
それでも利用するメリット
- 輸入相場・為替への依存を一部下げる
- 地域の稲作・耕種農家と連携できる
- 堆肥還元を含む循環をつくれる
- 飼料の生産者と圃場を確認しやすい
- 地域ブランドの説明材料になる
ウェスタン・ファームでは、登米市の米・稲わらなど地域資源を牛づくりへ生かしています。地域循環は稲わらと牛ふん堆肥でつなぐ地域循環をご覧ください。
使えるかを判断するチェック項目
- 乾物当たり・TDN当たりの価格
- 水分、成分、カビ毒、異物
- 年間供給量とロット差
- 運賃、荷下ろし、保管費
- 既存設備で加工・給与できるか
- 変更後のDG、疾病、枝肉成績
よくある質問
国産飼料は輸入飼料より高いですか?
品目と地域によります。表面単価ではなく、乾物・栄養価、運賃、ロスを含めて比較します。
国産原料だけで肥育できますか?
農場の土地、必要量、栄養設計、品質・年間供給の面で難しい場合があります。無理な100%化より、地域資源を適量組み合わせる方が現実的です。
国産飼料はどこで作られていますか?
牧草は北海道など、稲わら・飼料用米・稲WCSは水田地域、子実とうもろこしは北海道に加え東北・関東などで取組が進んでいます。