この記事の要点:TMR(Total Mixed Ration)は、粗飼料、濃厚飼料、ミネラル・ビタミン等を混合し、一口ごとの栄養を均一に近づける給与方法です。設計どおりの原料を入れるだけでなく、計量、投入順、混合時間、切断長、水分、配餌後の選び食いまで管理します。
TMRの基本
牛が必要とする栄養をまとめて混合します。粗飼料と濃厚飼料を別々に給与する方法に比べ、急激な濃厚飼料摂取を抑え、給与作業を標準化しやすい利点があります。
主なメリット
- 選び食いを抑えやすい
- 一口ごとの栄養を均一化しやすい
- 食品副産物やサイレージを混合できる
- 給餌作業を機械化・標準化できる
- 牛群別の設計を作りやすい
作る流れ
- 牛群の月齢・目的・摂取量を設定する
- 原料の乾物と成分を分析する
- 乾物ベースで配合設計する
- 投入順・混合時間を決める
- 配餌量、残飼、選び食いを確認する
- 分析値と牛の反応から修正する
失敗1:水分を見ない
サイレージや副産物の水分が変わると、原物重量が同じでも乾物摂取量が変わります。雨、発酵、保管で水分が変動するため、定期測定が必要です。
失敗2:混ぜすぎ・混ぜ不足
混合不足では栄養が偏り、混ぜすぎると粗飼料が細かくなりすぎ、物理性が失われることがあります。ミキサーの型式、刃の摩耗、投入量に応じて条件を決めます。
失敗3:飼槽で選び食いされる
TMRでも粒度差が大きい、乾燥しすぎている、配餌後に分離する場合は選び食いが起こります。配餌直後と残飼の粒度・成分を比較します。
TMRセンター
TMRセンターは混合飼料を共同で製造・配送し、農家の飼料調製労働や機械投資を軽減します。一方、配送距離、価格、停電・故障時の代替、農場ごとの細かな調整、センター自体の設備更新が課題です。
肉用牛での利用
繁殖、育成、肥育前期など、牛群と目的に応じて利用できます。黒毛和種肥育では段階別の給与設計が重要で、乳牛向けTMRをそのまま流用するものではありません。
穀物の違いは牛の飼料穀物を比較で解説しています。
よくある質問
TMRなら粗飼料を別に与えなくてよいですか?
TMR内で必要な粗飼料と物理性を確保する設計が前提です。
すべての牛に同じTMRを与えられますか?
月齢、繁殖、肥育段階、健康状態で必要量が異なるため、牛群分けが必要です。
TMRセンターを使えば必ず安くなりますか?
機械・労働の共同化効果がありますが、配送費、原料価格、利用量、契約条件で変わります。