この記事の要点:牛は食べた飼料をルーメン内の微生物とともに利用します。濃厚飼料量、原料、粒度、発酵飼料を急に変えると、微生物相と発酵環境が追いつかず、採食低下や消化障害につながる可能性があります。切替計画、旧飼料在庫、観察記録を準備し、段階的に移行します。
急な切替が問題になる理由
飼料によってでんぷん、糖、繊維、たんぱく質の分解速度が異なります。特に粗飼料中心から濃厚飼料中心への急変は、ルーメンpHの低下や採食変動を招くおそれがあります。
切替が必要になる場面
- 子牛市場からの導入
- 育成期から肥育期への移行
- 肥育前期・中期・後期の配合変更
- 仕入先や配合飼料銘柄の変更
- 新しい粗飼料・副産物の採用
- サイレージの新ロット開封
- 欠品時の代替原料使用
基本的な進め方
- 新旧飼料の成分、水分、粒度を比較する
- 移行期間に必要な旧飼料を確保する
- 少量から新飼料を混ぜ、段階的に割合を上げる
- 採食、残飼、反すう、糞、体調を毎日確認する
- 異常があれば増量を止め、原因を確認する
具体的な移行日数や割合は、変更幅、牛の月齢、健康状態、飼料特性で異なります。一律の方法ではなく、獣医師や飼料担当者と設計します。
「同じ銘柄」でも確認する
粗飼料や副産物、サイレージはロットで水分、成分、切断長、発酵品質が変わります。同じ名称だから無条件に切り替えられるとは限りません。旧ロットと新ロットを重ねて使用できるよう発注します。
導入牛で注意すること
子牛市場から導入した牛は、輸送、群編成、牛舎、水、飼料が同時に変わります。前飼養地の飼料情報を把握し、飲水と粗飼料へのアクセスを確保し、疾病の兆候を観察します。
切替中に記録するKPI
- 給与量と残飼
- 牛群・個体の採食行動
- 反すう時間
- 糞の硬さ、未消化粒子
- 体温、咳、鼻汁、活力
- 体重とDG
欠品時の代替を事前に決める
災害や物流障害が起きてから代替飼料を探すと、急な切替になりやすくなります。主要原料ごとに代替候補、最大使用量、仕入先、必要な移行日数を準備します。
調達リスク対策は畜産農家の飼料調達戦略、TMRの管理はTMRとは?をご覧ください。
よくある質問
牛が新しい飼料を食べるなら一度に替えてもよいですか?
嗜好性が高くても、ルーメンが適応しているとは限りません。段階的に移行します。
配合飼料のメーカー変更だけなら移行は不要ですか?
原料構成、加工、粒度、添加成分が異なる場合があります。表示と成分を比較して移行します。
切替中に採食が落ちたらどうしますか?
新飼料の増量を止め、飼料品質、飲水、疾病、暑熱などを確認し、必要に応じて獣医師等へ相談します。
参考資料
異常が認められる場合は自己判断で給与調整を続けず、獣医師等へ相談してください。