この記事の要点:2024年度の日本の飼料自給率はTDNベースで26%です。粗飼料は国内生産しやすい一方、配合飼料に使うとうもろこしや油かすなどの濃厚飼料は輸入依存が大きくなっています。自給率を上げるには作付面積だけでなく、収穫、乾燥、保管、検査、輸送、農家との契約まで整備する必要があります。
飼料自給率26%とは
農林水産省によると、2024年度の純国内産飼料供給量は620万TDNトン、総供給量は2,368万TDNトンで、自給率は26%でした。TDNは可消化養分総量で、重量が異なる飼料を栄養価へ換算して比較する指標です。
粗飼料と濃厚飼料で事情が違う
牧草、稲わら、稲WCSなどの粗飼料は国内生産の余地があります。一方、とうもろこし、大豆油かすなどの濃厚飼料は大量かつ均質な供給が必要で、輸入依存度が高くなります。2023年度の飼料供給はTDNベースで粗飼料20%、濃厚飼料80%でした。
なぜ輸入依存になったのか
- 海外の大規模穀物生産は単位コストが低い
- 日本の農地は小区画・分散が多い
- 畜産地域と穀物生産地域が離れる
- 配合飼料工場は輸入港を中心に整備されている
- 乾燥・保管・検査を含む国内インフラが不足する
輸入依存のリスク
作柄、為替、海上運賃、港湾・航路、輸出規制、紛争によって価格と供給が揺れます。農林水産省資料では、飼料穀物需要のおよそ1カ月分に当たる100万トンを備蓄する仕組みがありますが、長期的な価格上昇を解消するものではありません。
自給率を上げれば必ず安くなるのか
自給率向上と価格低下は同じではありません。国産化には機械、燃料、肥料、労働、乾燥施設、倉庫、運送が必要です。ただし、近距離で耕畜連携を構築できれば、輸入価格変動への耐性、地域農地の維持、堆肥利用という複数の効果が得られます。
現実的な拡大策
- 稲わらなど未利用資源の収集率を上げる
- 稲WCS・青刈りとうもろこしを地域契約で生産する
- 飼料用米・子実とうもろこしの加工保管拠点を整える
- コントラクター・TMRセンターで機械と労働を共同化する
- 食品副産物を品質管理して利用する
- 輸入原料も複数国から調達する
畜産農家の調達戦略
国産か輸入かを二者択一にせず、粗飼料は地域調達を増やし、濃厚飼料は複数原料・複数産地を使い、在庫日数と契約条件を管理する組み合わせが現実的です。給与変更は栄養設計と生産成績を確認しながら段階的に行います。
原料の内容は家畜飼料の原材料とは?、国産飼料の比較は国産飼料は高い・使えない?をご覧ください。
よくある質問
日本の飼料自給率は何%ですか?
2024年度はTDNベースで26%です。
飼料をすべて国産化できますか?
土地、収量、栄養、加工・物流、価格の制約があり、短期間での全面国産化は現実的ではありません。
備蓄があれば価格高騰を防げますか?
備蓄は短期的な供給途絶への備えですが、長期的な国際価格や円安の影響をなくすものではありません。