この記事の要点:米国の肉牛産業は、繁殖牧場、育成、フィードロット、と畜・加工を分業し、大規模なサプライチェーンを形成しています。2025年度、日本は米国から冷蔵64,427トン、冷凍117,088トンの牛肉を輸入しました。一方、米国は日本産牛肉にとって輸出額最大の重要市場でもあります。
米国の肉牛生産を支える分業
一般的な流れは、母牛から子牛を生産するカウ・カーフ経営、離乳後の育成、穀物肥育を行うフィードロット、と畜・加工です。経営体ごとに得意な工程へ集中することで、大量かつ安定した供給を可能にしています。
| 段階 | 主な役割 |
|---|---|
| カウ・カーフ | 母牛の繁殖、分娩、子牛の哺育 |
| ストッカー・育成 | 牧草などを利用して骨格と体重をつくる |
| フィードロット | 穀物主体の飼料で出荷体重まで仕上げる |
| パッカー | と畜、部分肉加工、国内外への販売 |
フィードロットと穀物肥育
フィードロットでは、トウモロコシなどの穀物、副産物、粗飼料を組み合わせ、増体と肉質を管理します。給餌、牛群管理、獣医療、出荷を標準化しやすい反面、飼料相場、疾病、暑熱、糞尿処理などを大規模に管理する必要があります。
USDA格付と日本の格付は同じではない
米国の代表的な品質等級にはPrime、Choice、Selectなどがあります。日本の肉質等級1~5や歩留等級A~Cとは、評価項目と表示方法が異なります。そのため「USDA Prime=日本のA5」と置き換えることはできません。
日本の歩留・肉質評価は牛肉の格付けとは?をご覧ください。
日本向けに輸出される米国産牛肉
日本市場では、焼肉、牛丼、ステーキ、外食、加工用など幅広い用途があります。バラ、肩、ロインなどの部位を、日本側の需要に合わせて供給できることが米国産牛肉の強みです。為替、飼料価格、現地相場、輸送費、関税が国内価格へ影響します。
米国は日本産和牛の重要市場でもある
2025年、米国向け日本産牛肉は輸出量で第2位、輸出額で第1位でした。高級レストランや専門店では日本産和牛の価値が認識されていますが、普及にはシェフや食肉担当者へ、部位の使い方、薄切り、焼き方、歩留まりを伝えることが重要です。
日本の和牛肥育との違い
米国は工程分業と規模、標準化に強みがあります。日本の黒毛和種生産では、一頭ごとの血統、採食量、健康、長期肥育、枝肉成績を精密に追跡します。日本でも繁殖と肥育の分業はありますが、農場規模、土地条件、肥育期間、求める肉質が異なります。
和牛が食卓に届くまでの流れは牛肉が食卓に届くまでで解説しています。
よくある質問
米国産牛肉はすべて穀物肥育ですか?
穀物肥育が主要ですが、生産方式は一様ではありません。牧草育成やグラスフェッドの商品もあります。
USDA PrimeはA5と同じですか?
同じではありません。米国と日本では格付制度、評価項目、歩留まりの表し方が異なります。
米国は日本産和牛を輸入していますか?
はい。2025年には米国が日本産牛肉の輸出額で最大の市場となりました。